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外貨建て保険の契約者が身近でも増えていますね

※2020年3月の米長期金利低下により外貨(ドル)建て保険の動向は変化すると思われます。本記事はそれ以前に準備していた内容を基に作成しています。

外貨建て保険に加入している人が増えている昨今

FP相談をうけていると、しばしば外貨建ての終身保険に加入している方がお見えになります。
消費生活センターに相談が増加している商品ですね。
ヒアリングの過程でどうして外貨建て保険に加入しているのか聞いてみますと、
「以前加入していた保険料が高かったから、保険ショップに行って保険の見直しをしてもらった。いろいろ相談に乗ってもらった結果、いまの外貨建て保険を契約することになった。」
とおっしゃるんですね。

もちろん、それをもって直ちに悪いということは全くありません。
さらにその方たちにお話を伺っていくと、為替リスクや支払う手数料について理解していらっしゃるし、元本割れになる可能性があることの説明を受け、それを承知で契約していらっしゃいます。
FP事務所にわざわざお金を払ってでも相談にいらっしゃる方々ですから、金融リテラシーも高いです。加えて年齢層は若めです。

私としては商品リスクを承知で保険契約をなさっていて不満がないのであれば、内容に踏み込んであれやこれや言う立場にはありませんから、そういった保険商品を契約していることを所与として相談業務を続けます。
つまり既に契約している保険で保証は足りているかどうかをみますし、あとキャッシュフローを圧迫していないかどうかもみます。
ちなみに今のところ「これはないだろう」というような解約を検討すべき契約内容のものには出会っていません。
(もしご高齢の方がいらっしゃっていたら状況は違っていたかもしれません。)

ネット上の情報は玉石混交

ネット上では悪評が目立つ外貨建て保険ではありますが、平準払いであれば払込み期間中に円高で、受取時に円安になっていれば利益が出るわけですから、外貨建て保険が一概に悪いとは言えません。
ましてや『損!』などと断定することはFPと名乗るものがしてはならないことだと考えます。
また『外貨建て保険』といっても、細かな契約内容は商品によって違いますし、ひとくくりにできない部分もあります。

ネット上の情報は玉石混交でして、主流は「為替変動リスクはあるし、手数料も高いし、そんな運用をするより他で運用した方が良い」というものが多いようです。
どこかで拝見したFPコラムでは外貨建て保険を即解約(つまり損切り)させて、掛け捨てに入り直してもらい、余力でNISAで資産運用を促したというものもありました。(当然ですがコメント欄は大荒れしていました。)
損をするリスクが高い(という判断した)からといって、その場で損を確定させて、なおかつ損をするリスクが当然あるNISA運用へ振り分けるというのはいったいどういうことなのでしょうか?
この度のコロナ騒動でそのご相談者の方は更なる損失を被ったのではないでしょうか?積立であったとしても大きな含み損に精神的に耐えられるでしょうか?

余談ですが、私は日経平均株価が2万円を超えたあたりから新規の株式投資を推してきていません。
これからポジションを減らしていく時期だと考えていましたから自分自身がそうしていたし、特に2万2千円を超えた頃からは新規参入は次の経済ショックが起こるまで待った方が良いと思う旨の意見を述べてきました。それまでは労働収入を貯蓄に回して力を貯める時期ですと。
明らかに官製相場でしたし、NISAとかIdecoとか、そういったセミナーが盛況のうちは経験則的に様子を見た方がよいのですよ。協会に所属していて言うのも何ですが。。

保険以外で運用した方がよいという意見には疑問。「現実はそんなにうまくいきません」

現実の相談業務では、「外貨預金口座も証券口座も作るつもりはない」というお客様は結構な割合でいらっしゃいます。
そんな方々に対して
「外貨建て保険に入るくらいなら外貨預金(または外国債を直接購入(!))した方がいいですよ」だとか、
「いまの時代は証券口座を作って投資しないとダメですよ」
といったFP個人の主張を推すことは果たして正しいことなのでしょうか?
証券口座を作る意欲さえ無かった投資の素人であるお客様がご自身で投資を始めた結果、損失を被ってしまったら、勧めたFPは何というのでしょう?
「投資は自己責任ですから」とか「勉強料です」とでも言うのでしょうか?

保険の強制貯蓄機能

金融投資に苦手意識がある、もしくは貯蓄が安定してできないという方は、Lowis J.AltfestのPFP理論でいうところの『保険の強制貯蓄機能』を利用することは効果的であると考えます。

万が一の事態へリスクヘッジしつつ、定期預金と同等もしくはマシな利率で解約返戻金・満期金を積み立てることができるからです。
(ただし、キャッシュフローの流動性リスクや保険会社破たん時のリスクを考える必要はあります。)

もちろん、そこから『外貨建て』でリスクを取ってよいのかどうかという論点はシビアに残りますよ。
仕組みが複雑で元本割れリスクがある割には外貨建て保険の契約者が目に見えて多いのには、確かに眉をひそめてしまいますね。
(私は外貨建て保険には加入してはいませんし、人へお勧めした経験もありません。)
ということで、できれば次回は保険ショップの中立性について触れてみたいと思います。

※弊所では保険商品および金融商品の勧誘、仲介・販売行為等、各業法に抵触するような業務は一切行っていません。

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