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コロナ騒動は実体経済を直撃する点でリーマンショックよりたちが悪い

リーマンショックとコロナ騒動との違い

CDOとその派生商品に端を発したリーマンショックは、金融セクターの混乱(資産価格バブルの崩壊)が信用不安の連鎖を招き、実体経済へ悪影響を及ぼしました。
とはいえ、当時の実体経済(モノを生産したり流したり、それを消費したり)は世界各地でダメージを受けつつも、ヒト・モノの流れが止まることはありませんでした。
(もちろん、日本でも新卒の内定取り消しやリストラ、派遣切りなど社会問題が吹き荒れ、大きなダメージを受けました。)
そして、金融セクターの混乱に端を発しているということは、その混乱を収めるための金融政策等で対処のしようがありました。
それでも実体経済に影響があったのは、元々アメリカの景気が悪くなっていた背景があって、そのために住宅価格の上昇が止まったし、従前から経営難がささやかれていた米大企業などは信用不安のあおりを受けて経営破たんに陥ってしまったためです。

一方で今回のコロナ騒動は実体経済が世界のいたるところで止まってしまっています。
日本でも飲食や大勢が集まるサービス関係はダメージを受けています。
これからアメリカでも同様のことが起こるわけですが、これが非常にまずい状況を生み出しそうです。

以前から燻ぶっていたCLO問題が実体経済の停滞で表面化する恐れ

アメリカは昨年の段階から企業ローンの分野で問題が燻ぶっていて、これが何かのきっかけで信用不安を引き起こすのではないかと議論されてきていた状態です。
それがここにきて、コロナ騒動によって、また原油安も相まって『財務基盤の弱い』企業群が続々とデフォルトに陥ってしまう恐れがあります(政策によって保護される可能性もありますが)。

デフォルトが相次ぐと、『財務基盤の弱い』企業群へのローンを束にして証券化した金融商品であるCLOの価値が毀損してしまいます。
CLOはCDOと違って貸手保護機能が備えられているし、そのおかげでリーマンショックを乗り切っているという主張が強かったですが、生み出された当初よりも保護機能は弱まっていますし、コロナ騒動による実体経済直撃で企業が一気にデフォルトを起こしてしまった場合は保護機能が無力化される恐れがあります。

CLOが減損対象になった場合は投資者の資本が毀損。信用不安のきっかけとしては十分なインパクトになり得る

CLOは条件が揃えば減損対象となる可能性があります。
そうなると、CLOを8兆円抱え込んでいれば程度によりますが数兆円の特損が発生する恐れもあります。
日本国内で一番CLOを抱えている組織の純資産の合計は7兆7千億円、うち資本金4兆円・利益剰余金2兆円(2020年3月期)です。
資本毀損の影響は大きいでしょう。

ブルームバーグの1年前(2019年4月18日)の記事ですが、CLOへの懸念について、

吉川農相は「仮に損失が発生すれば、JAバンク等や農村地域に甚大な影響を与える恐れがあると認識している」

と答弁しています。

リーマンショックを超える経済危機に直面して

答弁から1年ほどたった今、それが現実のものとなる恐れがあります。
今は金融市場は大荒れとなってはいるものの混乱までは陥っていません。
それが実体経済から波及した信用収縮の連鎖が起こってしまうと、実体経済・金融市場経済ともに深刻な状況に陥ってしまいます。
こうなるとリーマンショックをはるかに超える経済危機となります。

個人レベルで今からとれる対策は限られていますが、生命を守るための衣食住の備えなど、考え得ることはすべて行った方がよいでしょう。
(全く影響力の無いコラムだからこそ言えることかもしれませんが)

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