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リモートワークが普及すると今後はアウトソース化が進み、社会問題化する恐れ有り

この度のコロナウイルス騒動で在宅リモートを導入した企業が多数あるようですね。
『新型コロナウイルス対策として「テレワーク」を実施する企業120社』- 株式会社テレワークマネジメント 2020年03月24日

世界的にも増加しているようです。
『Microsoft Teams、新型コロナで過去1週間のユーザーが1200万人増』- ITmedia 2020年03月20日
『Slackの同時接続ユーザー数、新型コロナの影響で2週間で250万人増』 – ITmedia 2020年03月27日

私はFPとして独立した後、しばらくの間は在宅の記帳代行スタッフとして副収入を得ていました。
その経験から申し上げますと、企業のリモートワーク化が進めば、いずれアウトソース化が進むでしょう。
そして、アウトソース先末端の立場の弱い個人事業主が大変な思いをする事態が頻発する恐れがあるというのが今回の記事内容です。

リモートワーク実施に当たっては業務の分解・洗い出しが必要

企業がリモートワークを導入するにあたっては、在宅で可能な仕事とできない仕事とに業務を洗い出す必要があります。
この業務の洗い出しを行った後、在宅でも可能な業務(主に事務作業)を社員に在宅のまま仕事してもらうことになります。
そして、いずれこのように気づくでしょう。

「いまリモートで正社員にやってもらっている仕事って、アウトソーシングで十分なんじゃない?」と。

次に、アウトソーシング化を検討する過程で事務スタッフを雇用しないことによるコスト的なメリットに気づくでしょう。
①無期限雇用をしなくてよい
②社会保険料の負担と事務負担を減らせる
③業務量が増えても残業コストと訴訟リスクを気にしなくてもよい
④事務作業スペースを削減できる
⑤教育コストを削減できる etc…

アウトソース会社の『質』の問題はありますが、競争がある限りは品質を上げてサービスを提供してくれる会社が成長していくでしょう。
これからも、働き方改革等で『雇用することのコスト負担』が大きくなっていくでしょうから、アウトソースできるものはどんどん外注化されていくと予想します。

アウトソース先の実務は個人事業主が行うケースが多い

アウトソース会社は雇用しない傾向にある

社会全体から見た場合、アウトソース化が進んだとしても、アウトソース会社が雇用の受け皿となればよいのですが、そうはならない可能性が高いです。

なぜなら、アウトソース先の末端で仕事をしているスタッフは在宅の個人事業主が主流だからです。
つまりアウトソース会社は個人と業務委託契約を締結して、個人はアウトソース会社からの下請けという形で自分のPCを使ってリモート作業を行う形が取られているということです。
例えば、記帳代行の分野では様々な形でスタッフ募集がなされています(余談ですが、応募時に試験を課す会社は品質が安定していると個人的に思います)。

このような状況は昔からプログラミングの世界では当たり前であったようですが、現在は記帳代行の業界でも当たり前になっています。
電話代行などは設備環境的に厳しいかもしれませんが、設備投資があまり必要ない事務作業の分野では、末端の実務を担うスタッフは個人事業主となるアウトソース化が進むでしょう。

末端の個人事業主は立場が非常に弱い

このような末端の個人事業主(過去の私を含めて)は立場が非常に弱いです。
深夜業務が発生しても深夜手当はありませんし、1日18時間の突貫作業が発生しても残業代も出ません
そもそもの基本報酬も時給換算で1000円程で設計されているようです。
独立した個人事業主であれば、苦労した分の請求額を自分でコントロールできるかもしれませんが、アウトソース会社からの下請けという立場で報酬決定権はありません。
できることは、『辞めます』ということくらいです。

もちろん末端であっても個人事業主である以上は、業務時間の裁量は与えられています。ただそのコントロールが失われた場合が地獄なのです。

権利が守られた正社員ではやってもらえない日程で納品してくれることもある。これに味を占めると…

外注する側からしても正社員では実現できないようなメリットがあります。

例えば、外注元が事前に決められていた資料提供の日時が遅れてしまって、納期予定前日の夕方での資料提供となったとします。
通常の正社員が行う会社の場合は、翌日作業へ回すか、よくて終電時間まで残業してもらい、それでも翌日作業で終わらなさそうであれば納期を延ばす措置を取ることが考えられます。
一方、これがアウトソースの場合、アウトソース先(の末端)が徹夜でがんばってくれて、なんと事前の納期どおりに納品し、さらに追加費用も請求されないといったことが現実にあるのです。
(在宅ワーカーは終電・出勤という概念がありませんから、やれと言われたら日が昇っても作業を続けることになります。体力が持つ限り。)

これに味を占めると、企業はもう正社員雇用に戻れません。
前述したように、リモートでできるとわかった業務はどんどんアウトソース化するでしょう。
そしてアウトソース会社へ求める要求も厳しくなっていく恐れもあります。
アウトソース会社への要求が厳しくなればなるほど、しわ寄せがきて辛い思いをするのは末端の個人事業主です。

いずれ、アウトソース先末端の、立場が弱い個人事業主の働き方が問題視されるでしょうが、個人事業主は人によって状況が異なり、多様性があり過ぎて一筋縄ではいかないでしょう。

このような末端の個人事業主として働く際は、体を壊すほどの辛い働き方を要求された場合に、即刻仕事を断るくらいの備えが必要となるでしょう。
しかしながら、現実的には弱い立場にならざるを得ない人たちが不利な働き方をしているわけでして、仕事を断ることができない人も多いと思われます。

雇用保険というセーフティネットからもろに外れる『末端個人事業主』の問題は派遣切りよりタチが悪い

個人事業主として働くことのリスク

仕事の性質は異なりますが、この度のコロナウイルス騒動では個人事業主が仕事を打ち切られるなどして苦境に陥っている状況が発生しています。
『「新型コロナ」でピンチの個人事業主、フリーランス向け融資など、国の支援策総まとめ』 – マネーイズム 2020/03/23

個人事業主という働き方は、うまくやれば自分の専門性を活かしながら時間に縛られずに、報酬もある程度コントロールできるようになります。
半面、収入が途絶えても基本的に自己責任となります。
この収入が途絶えた場合に備えてのリスクヘッジ方法も存在しますが、そもそもの収入が低い『末端個人事業主』では選択肢にも上がらない状況です。

『通常のパート感覚で仕事をしていました』
これが末端個人事業主として働いている人たちの認識です。
被雇用者を守るために雇用コストが上昇すればするほど、雇用機会を逃してしまった人たちにしわ寄せが行ってしまします。
そこで末端個人事業主への救済措置を取ろうにも前述したように難しいです。

雇用を守りたい行政と雇用コストを下げたい事業者とのイタチごっこは続く

これからもずっと、雇用を守りたい行政と雇用コストを下げたい事業者とのイタチごっこは続くでしょう。
社会としてこの問題を解決することは困難でしょうから、個人として可能な限りの自衛をする必要があります。

新卒であれば、この雇用機会を逃さないことですし、
転職を考えている社会人であれば、次が決まっていない状況で辞めないようにしたいところですし、
むやみに難関国家資格への受験に走らないようにもしたいところです。
税理士事務所にお勤めの人は給料が良いという幻想』

職業の選択にあたってはよく考えたいけれど…

具体的な対策は各人の状況によって千差万別ですから、行動を取る前に熟考すべきでしょう。
とはいえ、追い込まれた状況で一人で考えても、なかなか良い答えは出てこなくて、どうしても次に進むべき道が見えてこないとお悩みの方もいらっしゃると思います。

職業の選択はライフプランニングの分野ですから、私のように転職を10回近く繰り返した者であれば相談者としてお役に立てるかと考えます。
最後は宣伝になってしまいますが、キャリア形成でお悩みの方はぜひ一度、私のFP相談をお試しになってみてください。

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