【コロナ禍で考える】生活防衛資金は生活費の何ヶ月分確保しておくべきか
こんにちは!
FPいずみです!!
今回は、『もしもの事態』に遭遇してしまい、収入が途絶えたり、突然の出費が発生するような場合に備えて、基本生活費の何か月分を用意しておけば良いかという内容をテーマについて論じていきたいと思います。
本テーマは、ファイナンシャル・プランニングを行うに当たって必ずチェックする非常に大切な内容です。
貯蓄が生活費の1か月分にも満たないような家計だと、思いもよらない事態に巻き込まれてしまった場合、少しでも貯蓄があれば救済策が取れたであろう余裕も無く即破たんしてしまうからです。
『もしもの事態に備える蓄え』を指す言葉の定義
私は題名で『生活防衛資金』という言葉を使用しましたが、様々な呼び方があります。
例えば『生活予備資金(予備費)』であったり、『緊急予備資金』と呼ばれていたりもします。
日本FP協会監修のルイス・J・アルトフェストの理論本では、『緊急時資金(緊急時に必要となる資金)』と訳されています。
『緊急』という言葉がつくと、この度のコロナ禍のように数か月以上に渡って影響のある事態だと、
直面している実感と言葉のニュアンスとがズレてくるかなと感じますので、今回は世間でもよく言われている『生活防衛資金』という言葉を採用しました。
一般的に3か月~6か月分と言われていた備えの資金
いくら備えておけば良いのかという点ですが、これはその人の状況によります。
例えば職業・職種や健康状態、家庭基盤など、様々な背景が影響してきます。
FPがみる場合は、あてにしていた財産が危機に直面した時に無価値になっていたなどということが無いように慎重にヒアリングします。
経験則として言われていることは、毎月の生活費の3か月から6か月分備えておくことが望ましいとされています。
この数字は、私自身が見聞してきたものでもありますし、上述のルイス・J・アルトフェストの理論本でも「だいたい3か月から6か月が望ましいとされている」と記載があります(p.214)。
この度のコロナ禍の状況を見ると、サービス業の『給与所得者』で収入に影響が出始めたのが3月頃からとして、
政府・自治体等の救済策が実施され始めたのが5月下旬頃から、
経済が一応の活動再開を始めたのが6月下旬頃からとみると、
3か月分ではやや心許なく、6か月分あればまだ余力を保てているという具合でしょうか。
これは社会のセーフティネットで守られている正規雇用者の場合です。
一方、緊急事態宣言とともに「今日はもう帰って。明日から仕事はありません」と言われて職を無くしたアルバイトや業務委託の個人事業主は、3か月分ではまったく足りませんね。
このことは首切りを伝えた側である小規模事業経営者も同様に言えることです。
雇用保険といった社会のセーフティネットから外れている方は、自身と家庭を守るために防衛資金をより多く確保しておく必要があります(理論上は)。
しかしながら、社会のセーフティネットから漏れている人ほど、収入も低く不安定という現実的な問題があります。
このような方々が取れる防衛策としては、できない貯蓄をどう増やすかではなく、働き甲斐は二の次にして3Kの職場でもどこでもよいから社会保険に加入できる正規雇用先を確保することなのかもしれません。
この雇用問題につきましては非常にデリケートな内容で、かつ個別差も激しいため、ここではこれ以上触れることはいたしません。
生活防衛資金は預貯金で確保しておくべきか?
生活費の6か月分を確保できる見込みが立ったとして、金額にして100万円を超えてくるお金をどこに置いておけばよいでしょうか?
10年に一度やってくるかどうかわからない危機のために、利息がほとんどつかず、インフレ耐性も弱い普通預金に預けておくべきでしょうか?
この点については、1か月から3か月分の金額を即座に引き出せる普通預金へ、残りを定期性預金や流動性のある債券系商品へ振り分けるのがベターであると考えます。
(ネット銀行をうまく利用して有利な金利を受けられるようにする考えもありでしょう。)
社会が動転するほどの危機は株式の暴落を伴う恐れが高いため、変動幅が大きい株式やリートへの振り分けは『いざという時に財産が毀損している』というリスクが高いと言えます。
このことは(ルイス・J・アルトフェストの)理論本(p.215)にも同様の記述があります。
このように考えていくと、一人暮らしの若年層が投資開始するにあたって、まず100万円を貯めてそれ以後の余剰資金を投資に充てていくという巷の意見は理にかなっていると感じます。
生活防衛資金を人生の一大イベントで使うかどうかは当事者の価値観による
財産基盤の弱い若年者の場合、例えば結婚および新婚旅行、出産といった一連のライフイベントの過程で資金繰りが厳しくなることは現実的によくあることです。
その際に、生活防衛資金を『一時的に』取り崩して節目のライフイベントを充実させる方に使うという考え方も理解できますし、逆に防衛資金は聖域として一切手をつけないという考え方もしっかりした考えです。
このことに関しては他人が踏み込んで誘導する内容ではありませんので、ご夫婦の場合は時間をかけて話し合ってお二人としての答えを出してほしいと願います。
せっかく貯めた、人生を豊かにするための財産なのですから、その財産があることで揉めてしまうのはもったいない話です。
お互いの意見を認め合いながら、ベターな選択肢を探り、ともに人生を歩んで行くのが理想なのではと思います。(現実は難しいですけどね。)
まとめ
まだ『コロナ禍』の最中ではありますが、これまでの内容をまとめます。
『理想の生活防衛資金』は、正規雇用者の場合で基本生活費の6か月分であると言えるでしょう。
職場の規模や職種の安定度によって多少の振れ幅は考えられます。
そして『お金の預け先』は2~3か月分を普通預金へ、それ以上はもう少し有利な金利がついて流動性が高く変動リスクの低いものを選ぶこと。
重要なライフイベント時(平常時含む)に、どうしても生活防衛資金を取り崩すことを検討する場合は、『夫婦間でケンカしないように』よく話し合って決めてくださいね。
という内容を述べました。
【社会保険への加入が無い働き方について】
最近は、社会保険料の負担逃れのような感じで、業務委託による仕事が増えているように感じます。
よほど儲けがない限りは、業務委託での仕事は避けた方がよいでしょう。
生活防衛資金を貯めることも大切ですが、社会のセーフティネットから漏れないようにしなければいけません。
セーフティネットがあることが前提に各種福祉制度が設計されてきたような感じがありますので、キャリアプランニングをしっかり練りたいところです。
今回は以上となります。
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